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『ポール・ローマーと経済成長の謎』を読んだ感想

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投稿経済学史中級
デヴィッド・ウォルシュによる『ポール・ローマーと経済成長の謎』を読んだ感想です。この本のポイントや感想を書いています。
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概要

 ポール・ローマー(Paul Romer)は、2018年に内生的成長理論でノーベル経済学賞を受賞した経済学者です。
 そして、このポール・ローマーという人物に焦点を当てた本が、この「ポール・ローマーと経済成長の謎」です。

 帯には、「経済は知識で成長する!」という題がついてますが、経済学における「収穫逓増」という問題について、経済学者がどのように対処してきたかという経済学史の本となっています。

収穫逓増とは

 経済学においては、一般的には「収穫逓減」を前提に議論が進められます。

 収穫逓減とは、生産要素の投入が増えるにつれ、生産量の増加が小さくなるという現象です。例えば、パンの生産を考えると、最初の1時間は10個パンを作ることができたのに、それから10時間後に1時間作業を増やしても、3個しか作れなくなるという現象です。

 直観的にも理解しやすく、数学的にも取り扱いやすいため、経済学では、多くの場合、この「収穫逓減」が前提にしています。

 しかし、経済成長ということを考えたとき、収穫逓減は問題が生じます。生産量が多くなると、いつかは、いくら労働や資本を投入しても、生産量が増えないという状況になるからです。また、様々な経済現象を見ると、必ずしもいつも収穫逓減が成立しているというわけではありません。

 そこで、収穫逓減とは逆の「収穫逓増」を取り扱う必要が出てきます。「収穫逓増」とは、収穫逓減とは逆に、生産要素の投入が増えれば増えるほど、生産量の増加が大きくなるというものです。

 この本は、この「収穫逓増」に対しての経済学史となっています。

まとめ

 物語風に語られており、読みやすい本になっています。
 ただ、数式などは出てきませんが、ある程度の経済学の知識がないと、その奥にある考えや面白さは分からないのではないかという気もしています。

 入門者・初級者向けの本では決してありませんが、ある程度、経済学を学んだ人ならば、非常に楽しめる面白い本になっているように思います。

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