セイの法則は、18世紀のフランス人経済学者 ジャン=バティスト・セイ(Jean-Baptiste Say)が唱えた法則です。
セイはこんな人↑
セイの法則とは、
「供給はそれ自ら需要をつくりだす」
というもので、価格の伸縮性を前提にすれば、供給と需要は一致するので問題はなく、供給の重要性を唱えた法則として知られています。
ただ、不況などが生じたときには、実際には失業者が出たりと、このようなメカニズムが働いておらず、批判されました。そして、このような批判のもと、需要の重要性を「有効需要の原理」として説いたのが、ケインズとされます。
ところで実は、実際のセイの考えは、少し違います。
生産(供給)と購入(需要)で考えましょう。
上記の言葉通りならば、
生産 → 購入
という図式が直接的に成立しています。
しかし、セイが主張したのは、生産することによって、貨幣を得ることができ、その貨幣で購入が行われるのだから、生産を行うほど、貨幣が増え、購入が増えるということです。
ですので、セイの考えでは、
生産 → 貨幣 → 購入
という図式になります。
それゆえ、「供給はそれ自ら需要をつくりだす」という言葉の前には、実は
「一見したところ逆説に見えるが」
という言葉がついています。
ということで、一般的な解釈であるセイの法則は、セイの主張を単純化・簡略化したものと言えるでしょう。
ただ同時に、セイの議論が、不況や恐慌などに対して、どうしようもなかったことも真実とも言えます。
参考
小林昇・杉原四郎編『経済学史』