クヌート・ヴィクセルは、19世紀後半から20世紀前半にかけて活動したスウェーデンの経済学者です。
ヴィクセルは、利子率をベースに、物価や経済の変動を論じました。
ヴィクセルによれば、利子率は、次の2つのものがあるとされます。
自然利子率(実物利子率)
資本主義での生産においては、多くの財や労働が投じられるような財の生産(これを迂回生産を言います)の利益から、利子が生み出されるとして、この利子を自然利子率と言います。
言わば、資本の限界生産力に等しくなるような利子のことです。
貨幣利子率(貸付利子率)
生産物は時間をかけるほど、高次のものが生産できるとして、時間の限界生産力というものを考えます。そして、この時間の生産力に等しいのがこの貨幣利子率であり、待つことにより、利子が生み出されるとします。
この2つの利子の差が、物価に影響を与えると考えます。
自然利子率>貨幣利子率のとき
企業家は、財の生産でより多くの利子が得られるので、投資を活発にしたり、財の購入を増やすことになります。
そして、このような状況が続く限り、物価は上昇することになります。
自然利子率<貨幣利子率のとき
このときには、財の購入や投資などを待ったほうが利子が高いことになります。
財の購入は手控えられ、このような状況が続くと、物価は下落し続けることになります。
そして信用機関が状況を続けるような利子を継続したときには、不均衡は累積していくとされます。
なので、この2つの利子を一致させるように、銀行はする必要があるとされました。
参考
小畑二郎『経済学の歴史』
小林昇・杉原四郎編『経済学史』