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ベクトル自己回帰モデル(VARモデル)について

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投稿計量経済学中級
時系列モデルのベクトル自己回帰モデル(VARモデル)の概要について、説明しています。
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はじめに

 時系列モデルにおいて、まずは自己回帰モデル(ARモデル)や移動平均モデル(MAモデル)などを学びますが、どれも基本的には変量が1つの場合のものとなっています。

 ただ当然ながら、変量が複数ある場合もあり、ARモデルやMAモデルではどうしようもありません。

 そこで、変量が複数の場合に使われるのが、ベクトル自己回帰モデル(VARモデル)です。

ベクトル回帰モデル

モデル

 VARモデルは、一般的に、次のようになり、これをVAR(q)モデルやq変量VARモデルと言います。

  $\mathbf{y_t} = \mathbf{\Phi_0} + \mathbf{\Phi_1} \mathbf{y_{t-1}} + \mathbf{\Phi_2} \mathbf{y_{t-2}} + \cdots + \mathbf{\Phi_p} \mathbf{y_{t-p}} + \mathbf{u_t}$

 右辺の説明変数部分で$\mathbf{y_{t}}$などが入っていないところが一つのポイントです(入っていたら、同時方程式になります)。

 なお、それぞれは、

  $p$:次数

  $\mathbf{\Phi_0}$:定数項ベクトル($q \times 1$)

  $\mathbf{\Phi_k} \quad (k=1 \, , \, \cdots \, , \, q)$:係数行列($q \times q$)

  $\mathbf{u_t}$:誤差項ベクトル($q \times 1$)

です。

 そして、誤差項については、次を仮定します。

  $E(\mathbf{u_t}) =\mathbf{0}$

  $Var(\mathbf{u_t}) = E(\mathbf{u_t} \mathbf{u’_t}) = \mathbf{\Sigma}$

  $E(\mathbf{u_t} \mathbf{u_{t-s}}) =\mathbf{0} \quad (t \neq s)$

定常性条件

 他の時系列モデルと同様に、定常性の条件があり、

 $|\mathbf{I_n} \; – \; \mathbf{A_1} z \; – \; \mathbf{A_2} z^2 \; – \; \cdots \; – \; \mathbf{A_p} z^p | = 0$

のすべての根$z$の絶対値が1より大きいこととなります。

モデルの推定

 モデルにおいて、先決変数のみであり、誤差項に系列相関などはないと仮定しているので、通常のOLSで推定できます。

 そして、次数が問題になりますが、AICなどにより判断することになります。

   変数の選択に使われる情報量基準について

2変量の場合

 q変量では直観的にイメージがつかないので、2変量VARモデル($p=1$)では、次のようになります。

  $x_t = \phi_{1} + \phi_{11} x_{t-1} + \phi_{12} y_{t-1} + u_{1}$

  $y_t = \phi_{2} + \phi_{21} x_{t-1} + \phi_{22} y_{t-1} + u_{2}$

 なお、上記のベクトル・行列表記に合わせると、

  $\begin{bmatrix}
x_t \\
y_t
\end{bmatrix} = \begin{bmatrix}
\phi_{1} \\
\phi_{2} \\
\end{bmatrix} + \begin{bmatrix}
\phi_{11} & \phi_{12}\\
\phi_{21} & \phi_{22}
\end{bmatrix} \begin{bmatrix}
x_{t-1} \\
y_{t-1}
\end{bmatrix} +
\begin{bmatrix}
u_1 \\
u_2
\end{bmatrix}$

となります。

参考

  山本拓『経済の時系列分析

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