計量経済学を学ぶと、回帰分析に始まり、色々なパターンの推計方法や検定を学ぶことになります。
ところが何気なく学んでいると、
「今、何をやっているのだろう」
「以前の話と何が違うのだろう」
などと思うことがあると思います。
そのためには、計量経済学のそれぞれの箇所で何をやっているかを知っておく必要があります。
ざっくりとですが、説明していきましょう。
【基本モデル(回帰分析)】
計量経済学の基本は、回帰分析で、まず学ぶものとなっています。
被説明変数を$y$、説明変数を$x_1 \, , \, x_2$、誤差項を$\epsilon$とし、次のようなモデルを考えるとしましょう。
$y = \alpha + \beta_1 x_1 + \beta_2 x_2 + \epsilon$
ただし、次を仮定します。
説明変数$x_1 \, , \, x_2$は、確率変数ではない
$E(\epsilon) = 0$
$V(\epsilon) = \sigma^2$
$Cov(\epsilon_i \, , \, \epsilon_j) = 0 \quad (i \neq j)$
$\epsilon \sim N(0 \, , \, \sigma^2)$
このもとに、$\alpha \, , \, \beta_1 \, , \, \beta_2$を推計することになります。
ただ、これらの仮定が必ず満たされるとは限らず、満たされないことが多いということです。
そこで、様々なモデルが出てくることになります。
【モデルそのものの誤り】
上記では、2つの説明変数でモデルを組みましたが、そもそも定式化が誤っている可能性があります。
例えば、説明変数間で相関していたり、説明変数に何らかの制約があるような場合です。
このときには、テーマとなるのが、「多重共線性」や「線形制約」などです。
【変わったモデルの定式化】
上記のような形で、モデルを定式化できますが、他にもモデルを定式化できます。
この手法を説明するのが、「関数変換」「ダミー変数」などの話です。
【$\sigma^2$が一定値ではない】
仮定において、$\sigma^2$は一定値とされますが、必ずしもそうとは限りません。
このような問題に対応するための手法を説明しているのが、「不均一分散」になります。
【$Cov(\epsilon_i \, , \, \epsilon_j) = 0$となっていない】
仮定では、誤差項の間で相関がないとされますが、必ずしもそうではありません。特に時系列データでは、誤差項間で相関を持つことが多く、このような問題に対応するための手法を説明しているのが、「系列相関」になります。
【説明変数が確率変数である】
説明変数が確率変数であってもいいのですが、説明変数が誤差項と相関しているときには、問題が生じます。
このような場合に説明されるのが、「操作変数法」です。
【被説明変数が質的変数である】
被説明変数が質的データであるときには、モデルによる予測値を質的データに変換する必要があり、プロビット・モデルなどが使われることになります。
【データがパネルデータである】
パネルデータとは、複数の経済主体による時系列データです。
このときには、経済主体ごとの特徴をどうするかという問題が生じるので、1つのテーマとなっています。
【データが時系列データである】
時系列データでは、変数間で相関を持つことが多いことから、1つのテーマとして、取り扱われます。
(そして、時系列モデルにおいても、色々ありますが、ここでは省略します)