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ドルコスト平均法が有利な理由(数式)

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投稿金融論中級
投資において、ドルコスト平均法が有利とされますが、なぜ有利なのかについて、定量購入と比較して、数式で説明します。
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はじめに

 株式などに投資を行う場合、安いときに多く買い、価格が上がったら売れば、大きな利益を上げることができます。しかし、その投資判断が難しいというのが、現実です。

 そこで、投資にあたり、システマティックに行おうとするとき、毎期同じ金額を投資するという方法と、毎期同じ数量を購入するという2つの方法があります。

 前者の、毎期同じ金額を投資するという方法は、「ドルコスト平均法」と言われ、投資にあたってはリスクを下げる投資方法として知られています。

 直観的には、毎期、価格が変動する中で、小まめに分散して投資したほうが、リスクは下がりそうですが、それならば、毎期同じ数量を購入しても、リスクを下げることができるはずです。

 ただ、数学的には、定量購入よりも、定額購入するドルコスト平均法の方が有利なことが知られており、説明したいと思います。

ドルコスト平均法が有利な理由

定量購入の場合

 投資する資産の毎期の価格を$P_i$として、定量$I$を購入するとしたとき、毎期の費用$C_i$は、

  $C_i = P_i \cdot I$

であり、$t$期までの定量購入における総購入費用$C_q$は、次のようになります。

  総購入費用:$\displaystyle C_q = \sum_{i=1}^t P_i \cdot I$

 他方、$t$期までの定量購入における総購入量$Q_q$は、次のようになります。

  総購入量:$Q_q = t \cdot I$

 これらのことから、定量購入における平均取得価格$A_q$は、

  平均取得価格:$\displaystyle A_q = \dfrac{C_q}{Q_q} = \dfrac{\sum_{i=1}^t P_i \cdot I}{t \cdot I} = \dfrac{\sum_{i=1}^t P_i}{t}$

となります。

ドルコスト平均法の場合

 投資するの毎期の費用を$S$としたとき、$t$期までのドルコスト平均法における総購入費用$C_d$は、次のようになります。

  総購入費用:$C_d = S \cdot t$

 他方、毎期の購入数量を$Q_i$とすると、

  $\displaystyle Q_i = \dfrac{S}{P_i}$

であり、ドルコスト平均法における総購入量$Q_d$は。次のようになります。

  総購入量:$\displaystyle Q_d = \dfrac{S}{\sum_{i=1}^t P_i}$

 これらから、ドルコスト平均法における平均取得価格$A_d$は、次のようになります。

  平均取得価格:$\displaystyle A_d = \dfrac{C_d}{Q_d} = \dfrac{S \cdot t}{S / \sum_{i=1}^t P_i} = \dfrac{t}{\sum_{i=1}^t P_i}$

となります。

比較

 以上から、定量購入の場合とドルコスト平均法の場合のそれぞれの平均取得価格を比較します。
 当然ながら、投資においては、安く買えた方がいいことになります。

 改めて、上記から、それぞれの平均取得価格を書くと、次のようになります。
 
  定量購入の場合:$\displaystyle A_q = \dfrac{\sum_{i=1}^t P_i}{t}$

  ドルコスト平均法の場合:$\displaystyle A_d = \dfrac{t}{\sum_{i=1}^t P_i}$

 ここで、

  調和平均 ≦ 算術平均

という式が成り立つという公式があります。数式で表すと、

  $\dfrac{n}{\frac{1}{x_1} + \frac{1}{x_2} + \quad \cdots \quad + \frac{1}{x_n}} \leq \dfrac{x_1 + x_2 + \quad \cdots \quad + x_n}{n}$

というものです。

   算術平均・幾何平均・調和平均の関係

 このことから、上記のそれぞれの平均取得価格を考えると、

  $A_d \leq A_q$

となることが分かります。すなわち、

  ドルコスト平均法の平均取得価格 ≦ 定量購入の平均取得価格

であり、ドルコスト平均法で購入したほうが、定量購入した場合よりも、安く投資を行うことができ、有利なことが分かります。

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