概要
出生率について、様々な指標があります。
それぞれの指標について、説明したいと思います
粗出生率(普通出生率)(CBR:Crude Birth Rate)
$t$年において、出生数を$ C_t$、人口を$ P_t$とすると、粗出生率(普通出生率)は、次のように定義されます。
$ CFR = \dfrac{C_t}{P_t}$
(特徴)
・計算が楽であり、人口構造のデータがなくても計算可能
・年齢構造のバイアスがある
・分母に年少者や高齢者を含んでいる
総出生率(GBR:General Birth Rate)
$t$年において、出生数を$ C_t$、15~49歳の女性の数を$ W_t$とすると、総出生率は、次のように定義されます。
$ GFR = \dfrac{C_t}{W_t}$
(特徴)
・比較的計算が楽である
・年齢構造のバイアスがある
・粗出生率とは異なり、分母に年少者や高齢者を含んでいない
合計(特殊)出生率(TFR:Total Fertility Rate)
$t$年において、$ i$歳の女性が産んだ子供の数を$ c^i_t (i = 15, \cdots 49)$、$ i$歳の女性の数を$ w^i_t (i = 15, \cdots 49)$とすると、合計(特殊)出生率は、次のように定義されます。
$ TFR = \dfrac{\displaystyle \sum^{49}_{i=1} c^i_t}{\displaystyle \sum^{49}_{i=1} w^i_t}$
(特徴)
・人口構造のデータが必要
・一般的に使われる指標
総再生産率(GRR:Gross Reproduction Rate)
$t$年において、$ i$歳の女性が産んだ
$ TFR = \dfrac{\displaystyle \sum^{49}_{i=1} g^i_t}{\displaystyle \sum^{49}_{i=1} w^i_t}$
(特徴)
・合計(特殊)出生率とは異なり、分子が女児の数となっている。
・子供は女性からしか生まれないことを明示化した指標
純再生産率(NRR:Net Reproduction Rate)
総再生産率(GRR)から、女児の死亡を考慮したものです。
ここで、人口置換水準(PRL:Population Replacement Level)を考えます。
人口置換水準とは、長期的に人口が増減しない出生の水準を表します。言い換えれば、長期的に人口が増減しない合計(特殊)出生率(TFR)のことです。
ただ、合計(特殊)出生率が高くても、生まれた子供として女児の数が少なければ、長期的には人口は減少してしまいます。そこで、人口置換水準は、合計(特殊)出生率を総再生産率で割った数で定義します。
$ PRL = \dfrac{TFR}{NRR}$
そして、これを式変形すると、次のように、総再生産率が得られます。
$ NRR = \dfrac{TFR}{PRL}$
なお、人口置換水準としては、2.07とされており、その数字を使うと、純再生産率は、次のようになります。
$ NRR = \dfrac{TFR}{2.07}$
参考
松浦司『現代人口経済学』