ミクロ経済学の企業行動において、生産要素が複数ある場合があります。
このとき、生産要素の代替の弾力性がどうなるかについて、見てみましょう。
まずは、企業は資本$K$と労働$L$を用いて、コブ・ダグラス型の生産関数$K^\alpha L^\beta$のもと、生産活動を行います。生産物の価格を$p$、資本レンタル率を$r$、賃金を$w$とすると、この企業は、次のような利潤関数$\pi$に直面します。
$\pi = p K^\alpha L^\beta \, – \, rK \, – \, wL$
一階条件
利潤を最大化すると、
$\alpha K^{\alpha-1} L^\beta = \dfrac{r}{p}$
$\beta K^\alpha L^{\beta-1} = \dfrac{w}{p}$
を得ることができます。
また、この2式から$p$をキャンセルすると、
$\dfrac{\alpha}{\beta} \dfrac{L}{K} = \dfrac{r}{w} \quad \cdots \quad (1)$
を得ることができます。
代替の弾力性
代替の弾力性$\epsilon$は、次のように定義されます。
$\epsilon = -\dfrac{d(K/L) / (K/L)}{d(r / w)(r / w)}$
この式は、
$\epsilon = -\dfrac{d(K/L)}{d(r / w)} \dfrac{L/K}{(r / w)} \quad \cdots \quad (2)$
とも表せます。
ここで、1階条件$(1)$式から、
$d(r / w) = -\dfrac{\alpha}{\beta} \dfrac{d(K/L)}{(K/L)^2}$
なので、この式と$(1)$式を使って、$(2)$式を整理すると、
$\epsilon = \dfrac{\beta}{\alpha} \left( \dfrac{K}{L} \right)^2 \dfrac{L}{K} \dfrac{\alpha}{\beta} \dfrac{L}{K} = 1$
であり、代替の弾力性は1になります。
代替の弾力性(対数)
代替の弾力性は、対数を使った形でも求めることができます。
$(2)$式において、対数で表すと、次のようになります。
$\epsilon = -\dfrac{d \ln (K/L)}{d \ln (r / w)} \quad \cdots \quad (3)$
ここで、$(1)$式を対数化すると、
$\ln \left( \dfrac{\alpha}{\beta} \right) \, – \, \ln \left( \dfrac{K}{L} \right) = \ln \left( \dfrac{r}{w} \right)$
であり、全微分すると、
$- \, d \ln \left( \dfrac{K}{L} \right) = d \ln \left( \dfrac{r}{w} \right)$
であることから、これを$(3)$式に代入すると、
$\epsilon = -\dfrac{d \ln (K/L)}{- \, d \ln(K/L)} = 1$
であり、同様の結果を得ることができます。