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消費におけるランダム・ウォーク仮説

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投稿マクロ経済学中級
マクロ経済学の消費理論におけるランダム・ウォーク仮説について、説明しています。
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はじめに

 マクロ経済学において、消費がどのように決定されるのかは、1つのテーマです。

 所得に応じて、消費額は決定されるというのが、一般的な考えでしょうか。
 これに基づいて、消費関数を定義したのが、ケインズ型消費関数です。

   ケインズ型消費関数について

 ところで、全くそうではないとするのが、ランダム・ウォーク仮説です。

ランダム・ウォーク仮説

 $t$期における消費を$c_t$とすると、ランダム・ウォーク仮説では、次のように次期の消費が決定されるとされます。

  $c_{t+1} = c_t +e_t \quad \cdots \quad (*)$

 ここで、$e_t$はホワイト・ノイズであり、次のようなものです。

  $E(e_t) = 0$
  $Var(e_t) = \sigma^2$
  $Cov(e_t e_s) = 0 \quad (t \neq \ s)$

 この意味は、$e_t$は平均は$0$で、分散は一定の$\sigma^2$であり、各期の値とは相関がないというものです。すなわち、ホワイト・ノイズは、平均は0ですが、一定の幅をもって、不規則に変動することになります。

 このことから、$(*)$式の意味を考えると、次期の消費$c_{t+1}$は、今期の消費をベースに、所得などの他の変数の影響を受けず、不規則に変動するということを意味します。

 言い換えれば、次期の消費は、予測ができないということになります。

 これは、直感的には納得がいかない感じがし、やや驚きの仮説となっています。

なぜ、そうなるか?

 数式ではなく、直感的な説明しましょう。

 消費者は、資産と年々の所得をもとに、消費を行っていきます。しかし、高齢になると、引退などして所得が減ることが考えられるでしょう。そうしたとき、合理的な消費者は、その老後に備えて、貯蓄をしたりします。この結果、消費者は、年々の所得に関係なく、平準化された消費を毎年行うことになるでしょう。言い換えると、所得などが増えたときには、それをすべてそのときに使うのではなく、将来のために蓄え、逆に、所得が減少したときには、以前に蓄えた貯蓄を取り崩して、消費を平準化すると考えられます。

 しかし、所得は毎年一定ではないので、予期しない変動があると考えられます。そして、その変動に応じて、所得も変化すると考えられます。そして、消費も予期しない要素で変動することになります。

 すなわち、次期の消費は、合理的に予想された平準化された消費に加え、予期しない変動を加えたものになると考えられます。

 このことから、合理的に決定した消費水準で、当期と同じ額を次期も消費するのですが、予想できない部分があるので、不規則なホワイト・ノイズを加えて、次期の消費が決定されると考えられ、$(*)$式のような形になるというわけです。

参考

  デビッド・ローマー『上級マクロ経済学

  宇南山卓『現代日本の消費分析:ライフサイクル理論の現在地

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