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ジョブ・サーチから見た二つの失業

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投稿労働経済学入門
失業といった場合、いくつかの見方がありますが、ジョブ・サーチ(職探し)という観点から見た2つの失業について、説明しています。
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はじめに

 失業といった場合、労働者が自ら望んでいるかどうか、景気によって生じた失業なのかなど、失業と言ってもいくつかの見方があります。

 そして、その一つとして、失業者が職探し(ジョブ・サーチ)にあたって、失業している状態があり、大きく分けると、次のような2つの種類があるとされます。

  ・摩擦的失業

  ・構造的失業

摩擦的失業

 摩擦的失業とは、失業者が仕事を探すにあたり、時間がかかることで失業となっている状態です。

 職探しと言っても、すぐに探すことができるわけではなく、求人サイトで調べたり、ハローワークに行ったりしなければなりません。
 仮に、応募したい仕事があっても、遠方にあるなどの理由で、条件が合わない可能性もあります。そうすると、また求人サイトを調べたりする必要があります。
 そして当然、応募して面接・採用・就職までも時間がかかることから、その間は失業中のままです。

 このように、仕事を探し実際に就職するまでには時間がかかることから、失業となっており、このような状態を摩擦的失業と言います。

 特に、この摩擦的失業については、失業保険(雇用保険)が問題になります。失業保険自体は、失業者の生活を守るためのセーフティーネットですが、この失業保険があるがゆえ、再就職への意欲を減退させたり、のんびりと仕事を探すなど、摩擦的失業を助長させてしまう効果があります。

構造的失業

 構造的失業とは、ミスマッチ失業とも言われるもので、求職者と求人者の間で、求めるスキル・経験などが合わずに、失業状態に陥っていることを指します。

 求職者から見れば、働きたいと思う仕事が見つかっても、企業が求めるスキルを持っていなければ、働くことはできません。企業としても、求めるスキルなどがなければ、当然ながら雇うことはありません。

 また、スキル・経験だけではなく、年齢や性別なども、求職者と求人者の間でミスマッチとなり、この構造的失業を招くこともあります。法律的には、このような年齢・性別で募集に制限することは認められていませんが、実際はそういうことはあるでしょう(逆に、法律的な制限があるため、本来は求人企業は若者しか採用しないとしているのですが、建前として、そういうことは言えず、高齢者が勘違いして応募するなど、求職者である高齢者にとって摩擦的失業を助長している面があるかもしれません)。また、「長期勤続によるキャリア形成」という形をとれば、年齢制限も可能なので、年齢によるミスマッチが生じていると思われます。

 そして国としては、この構造的失業に対して、大きく分けると、2つの点で、(どこまで有効かは別として)対策をとっています。

 1つは、企業が雇いにくいと思われる失業者を雇用した企業に助成金などを与えるという方法です。

   厚生労働省「事業主の方のための雇用関係助成金

 もう1つは、求職者のスキル不足などを向上させて、再就職しやすいように、スキル向上を支援するという方法です。

   厚生労働省「ハロートレーニング(離職者訓練・求職者支援訓練)

最後に

 いずれの失業においても、求職者からしたら失業者には変わらず、いかにこのような状態を少なくするかが、重要な視点となります。

 特に、摩擦的失業については、ネットの発達などで、求職者は仕事を探しやすい状況になっているという点で改善傾向にあるかもしれませんが、高齢化や産業構造の変化が著しい中で、構造的失業は増えているのかもしれません。

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