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なぜ、経済学で数学が使われるのか?

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投稿経済学全般入門
文系なのに数学? なぜ、経済学で数学を使われるのかを説明したいと思います。
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 経済学を学ぶと、ほぼ数学が出てきます。
 そして、

  「何で数学を使うの? いらないのでは?」
  「数学が苦手! 数学が嫌だから、文系を選んだのに」

などと思ったりもします。

 そこで、個人的な視点ですが、なぜ経済学で数学が使われるのかを説明したいと思います。

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数学が使われる理由

かっこいいから

 「かっこいいから」というは、言い過ぎかもしれませんが、数学を使えば、「科学っぽく」見えるからです。

 現在でもそうかもしれませんが、理系の学問と比べて、経済学が科学と言っていいのか、微妙な部分があります。
 例えば、物理法則であれば、必ずそうなるという答えが出てきますが、経済学はそうではありません。経済学が人間を扱っている学問である以上、仕方がないとはいえ、理系の学問から比べれば、科学とは言えない部分もあるでしょう。

 そこで、経済学は、より科学に近づこうと(より科学っぽく見せようと)、物理学や数学を取り入れて、学問が構築されてきたという歴史があります。
 例えば、経済学で「均衡」という言葉がありますが、これは物理学の「平衡」という概念を用いたものです。

 このように、経済学は、より科学に近づこうとするため(分かりやすく言えば、かっこつけるため)、数学などを使っているというわけです。

データを扱うから

 経済学は、経済現象を扱うため、データも扱うことが多いです。同じ文系の学問と言っても、文学が全くデータを扱うことがないのと比較すれば、分かると思います。

 データ・数字を扱うため、当然ながら、数学とは親和性が高く、統計学という数学の一分野を利用して、経済現象を扱ったりもするため、経済学で数学が使われることになります。

便利だから

 数学が苦手な人からすると、「何だ!」ということになるでしょうが、数学を使うことで便利なことも多いです。

 例えば、

  「限界的に政府支出が増加したとき、所得の限界的な増加分は、貯蓄性向に反比例した分だけ増加する」

という文章があったとします。一見するとよく分からず、しっかりと読まないと何のことか理解できないでしょう。

 ただ数学を使えば、

  $ \displaystyle d Y = \dfrac{1}{1-c}dG$

などという形で、簡単に説明できます(数学が苦手な人からすると、これも何だということになるでしょうが)。

 このため、経済学を勉強していくと、経済学でも文章が多い本や論文を読むことが辛くなり、数式が出てきたほうが、読むのが楽という感覚にもなります。

 特に分かりやすいのが、経済学の英語の本や論文を読むときです。英語を読むのは辛いのですが、数学ならば分かるので、英語の文章部分はあまり読まなくても、何となくやろうとしていることが分かったりして、便利です。
(この点で、数学者など、元々は経済学をやっていなかった人でも、数学という共通言語があるため、参入がしやすい学問となっています)

モデル化・シミュレーションができるから

 例えば、土木などで、実際に川の水がどうなるかは分かりませんが、小さな箱庭で砂を敷き詰めて、水を流せば、川の状況を再現したり、実験することができます。

 経済学も同様で、実験などは重要なのですが、それを現実の経済現象でどうこうすることは難しいです。そこで、上記の土木の箱庭のようなものが必要なのですが、その際に、モデルを構築するのに役立つのが、数学です。

 ミクロ経済学で、消費者行動や企業行動などを学ぶことになると思うのですが、正しくこれらは、消費者や企業の行動をモデル化しているのです。
 例えば、企業行動は、次のような利潤関数を想定したりもします。

  $ \pi = px – cx$

 この一文の数式で、非常に簡便に企業行動をモデル化できます。

 そして同様に、モデル化することで、シミュレーションもやりやすくなるため、数学が使われます。

研究者になるため

 経済学を学ぶときには、基本的には、大学の先生などの研究者から学ぶことになります。
 そして、研究者になるには、論文を書く必要があるわけですが、実証という形で統計学・計量経済学的に分析するか、数学を使った理論でしか、その論文が学術誌の審査は通過しません。

 なので、研究者になりたければ、数学は必須です。

 シュンペーターという経済学者は、「イノベーション」という概念をもたらし、経済学・経営学に大きな影響を与えましたが、数学ができなかったので、(本当かどうか分かりませんが)ノーベル経済学賞をもらえなかったという話もあります。

(おまけ)論理性を追求するため

 一般的には、経済学が数学を使うのは、「論理性をしっかりとするため」と言われたりもします。

 特に、経済学は実験がやりにくいので、論理が重視されるのは仕方ありません。違う言い方をすれば、実験をやれないならば、演繹的に考えることが重要となるのは仕方ないと言えるでしょう。難しい言い回しをしたので、さらに違う言い方をすれば、確かめることができないので、頭の中で考えた間違いないことを追求していくことが大事ということでもあります。

「(おまけ)」について

 私としては、最後の理由として、「(おまけ)」としたのは、本当に論理的なのかという疑問があるからです。
 あくまでも、「数学的」な論理性があるのであって、「経済学的」にはどうなのかということは、よくあります。

 経済学の理論を考えるとき、数学的には解けないということで、「仮定」や「条件」を入れたりもします。例えば、ミクロ経済学で最初に、「効用の最大化」という話があると思いますが、そのような形にしないと、数学的にはモデル化できなかったり、その先に進めないからです。

 このため、数学的には論理的ですが、経済学には本当に論理的なのかというふうに思ってしまいます。

 なお、経済学者のケインズは、元々は数学が得意だったのですが、『一般理論』を著すにあたり、複雑な経済現象を数学で表すことはできないとして、数学なしの本としました(そのあとに、他の経済学者が数学モデル化しましたが)。

 この点で、経済学で数学を使うのはどうかという部分があります。

 ですので、まとめると、

  「経済学で数学を使うのは、上記のようなメリットがあるから。だけど…」

ということです。

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