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なぜ、経済学では微分をするのか?

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投稿経済学全般入門
経済学で数式モデルに直面したとき、よく使われるのが微分ですが、なぜ微分が経済学で多用されるのかについて、説明します。
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はじめに

 経済学を勉強すると、数学がよく使われます。そして、その数学の中でも、微分を使うことが多いでしょう。

  ミクロ経済学を学べば、効用最大化ということで微分。
  マクロ経済学でも、古典的なケインズ経済学から動学問題まで、微分 など

 至るところに、微分が出てきます。

 ところで

  「なぜ、経済学でこんなにも微分が出てくるのか?」

と思ったことはないでしょうか。

 そのような方のために、私見ですが、その理由について、説明したいと思います。

微分が使われる訳

最大化

 最も多い理由として、微分をすることで、最大になったり、最小になったりする場合の値を求められるからでしょう。

 経済学では、必ず何らかの主体(プレイヤー)がおり、その主体は目的や欲求をもっています。例えば、消費者ならば効用(満足感)であったり、企業ならば利益といった具合です。

 そして、それらの主体がその目的や欲求を大きくするに行動すると仮定します。そのときに、その目的や欲求が最大になるときにはどうなるかを知る必要があり、その最大になるときを求めるために、微分が使われます。

 例で考えると、企業の行動を考えましょう。
 企業は、次のような原理のもと、行動を考えます。

  利益 = 価格 × 生産量 ー 単位費用 × 生産量

 企業にとっては、生産量を増やせば、売上は上がるのですが、同時に費用も大きくなります。そうしたとき、企業は生産量を増やしても減らしても変わらない生産量が、最も利益を増やすことができます。

 他方、微分をして0とすれば、変化が止まる値を求めることができます。

 ですので、上記の利益の式について、生産量で微分して0とすれば、最も大きな利益を得られる生産量を求めることができます。
 (議論としては、費用最小化の場合も同様です)

 このように、微分をすることで、目的や欲求が最大になるような状態を求めることができます。

変化

 経済学においては、ある値がどのようになっていくかという変化も重要です。
 例えば、増えていく傾向があったとき、その増加がより強化されていくのか、減少していくのかなどといったことです。企業の生産でいえば、生産量を増やすほど、その生産量の効率は上がるのか、それとも下がるのかが重要になったりもします(収穫逓増・逓減)。
 そして、微分をすれば、これを知ることができます。

 イメージがつきにくいので、車を運転している場合を考えましょう。
 あるゴール地点まで、車を運転して、向かうとします。ゴール地点までは、一定の距離を走ればいいのですが、早く着くには、速度が重要です。当然ながら、速度が速いほど、ゴール地点に早く着けるのですが、速度が速すぎて、ゴール地点を超えてしまってはどうしようもありません。ゴール地点では速度は0になる必要もあります。

 このように、ゴール地点に向かうということについて考えると、速度が重要なように、経済学でもこの部分が重要になります。
 そして、この速度を求めるというのが、数学的には微分になります。

 なお、静学的には財の変化などが重要となりますが、動学的には時間自体が問題になります。

方程式

 経済学においては、数学が使われるのですが、方程式を解いていく必要があります。

 しかし、方程式を解くには、

  方程式の数 ≧ 変数

でなければいけません。

 経済学においては、目的関数はありますが、方程式は1つしかないということがよくあります。
 例えば、次のような効用最大化問題を考えましょう。

  $u(x , y)$
  $s.t. \quad p_x x + p_y y = M$

 効用関数$u$という目的関数はありますが、方程式としては、予算制約式しかないことになります。
 しかし、これを最大化することで、

  $\dfrac{u_x}{u_y} = \dfrac{p_x}{p_y}$

という1階条件が得られ、この式と予算制約式の2つの式を使うことで、$x$と$y$について解くことができます。

 このように、微分して0としたりすることで、方程式を増やすことができ、解を求めることができたりします。

まとめ

 経済学において、わざわざ微分したりするのは、面倒・ややこしいと感じるかもしれません。

 しかし、

  ・モデルのプレイヤーの行動を特徴づけるため
  ・分析をより行うため
  ・数学的な問題を解くため

など、いくつの理由があります。

 数学が苦手な方にとっては、問題をややこしくしているような感じもするかもしれませんが、それなりに意味があり、経済学では微分が用いられています。

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