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反復支配戦略均衡について

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投稿ゲーム理論初級
経済学におけるゲーム理論の反復支配戦略均衡について、初心者向けに説明しています。
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はじめに

 ゲーム理論において、支配戦略というものがあります。 
 支配戦略とは、他のプレイヤーがいかなる戦略をとろうとも、自身の戦略は1つになるというものです。言い方を変えれば、他のプレイヤーがとった戦略について、どのような戦略に対しても、自身の1つの戦略のほうが利得が高く、その戦略を選ぶというものになります。

   ゲーム理論における支配戦略について

 この支配戦略という概念には、非常に便利な概念です。
 なぜなら、あるプレイヤーに、いくつもの戦略があったとしても、支配戦略が存在すれば、そのプレイヤーの戦略は1つになるからです。平易な言い方ですれば、「一択」になるということです。

 しかし、支配戦略が存在しない場合も多く、このようなときに使える可能性があるものとして、「反復支配戦略均衡」です。

反復支配戦略均衡

 反復支配戦略均衡とは、他のプレイヤーがどのような戦略であっても、利得が大きくならない戦略を削除していって、最終的に支配戦略が残り、均衡が実現されるというものです。

 イメージがつきにくいと思うので、例で説明しましょう。

数値例

 プレイヤー1と2の2人があり、プレイヤー1はAとB、プレイヤー2はX・Y・Zの戦略をとります。
 プレイヤー1の利得を左側の数値、プレイヤー2の利得を右側の数値としたとき、次のような利得マトリックスになっているとします。

プレイヤー2
XYZ
プレイヤー1A1:01:30:1
B0:40:15:0

(支配戦略の確認①)
 まずは、このゲームについて、支配戦略が存在するかを考えましょう。
 プレイヤー1にとっては、プレイヤー2の戦略がXとYのときには戦略Aを、プレイヤー2の戦略がZのときには戦略Bを選ぶことになります。

  プレイヤー2の戦略がXやYのとき ⇒ プレイヤー1:戦略Aの利得1 > 戦略Bの利得0
  プレイヤー2の戦略がZのとき ⇒ プレイヤー1:戦略Bの利得5 > 戦略Aの利得0

 次に、プレイヤー2にとっては、プレイヤー1が戦略Aのときには戦略Yを、プレイヤー1が戦略Bのときには戦略Xを選びます。

  プレイヤー1の戦略がAのとき ⇒ プレイヤー2:戦略Yの利得3 > 戦略Zの利得1 > 戦略Xの利得0
  プレイヤー2の戦略がBのとき ⇒ プレイヤー2:戦略Xの利得4 > 戦略Yの利得1 > 戦略Zの利得0

 これらのことから、このままでは支配戦略は存在しないことになります。

(戦略の逐次消去)
 ところでもう一度、プレイヤー2の戦略を確認しましょう。
 プレイヤー1が戦略A・Bいずれの場合でも、戦略Zは、プレイヤー2には最大の利得をもたらすことがありません。

  プレイヤー1の戦略がAのとき ⇒ プレイヤー2:戦略Yの利得3 > 戦略Zの利得1 > 戦略Xの利得0
  プレイヤー2の戦略がBのとき ⇒ プレイヤー2:戦略Xの利得4 > 戦略Yの利得1 > 戦略Zの利得0

 なので、この戦略Zを消去します。このとき、利得マトリックスは次のようになります。

プレイヤー2
XY
プレイヤー1A1:01:3
B0:40:1

(支配戦略の確認②)
 逐次消去されたこの利得マトリックスに基づいて、もう一度、支配戦略を確認しましょう。

 プレイヤー1にとっては、プレイヤー2の戦略がXとYのときには戦略Aを選びます。

  プレイヤー2の戦略がXのとき ⇒ プレイヤー1:戦略Aの利得1 > 戦略Bの利得0
  プレイヤー2の戦略がYのとき ⇒ プレイヤー1:戦略Aの利得1 > 戦略Bの利得0

 次に、プレイヤー2にとっては、プレイヤー1が戦略Aのときには戦略Yを、プレイヤー1が戦略Bのときには戦略Xを選びます。

  プレイヤー1の戦略がAのとき ⇒ プレイヤー2:戦略Yの利得3 > 戦略Xの利得0
  プレイヤー2の戦略がBのとき ⇒ プレイヤー2:戦略Xの利得4 > 戦略Zの利得0

 これらのことから、プレイヤー2は相変わらず支配戦略が存在しないままですが、プレイヤー1は戦略Aが支配戦略になり、支配戦略が存在することになります。

(反復支配戦略均衡)
 戦略Zを逐次消去したことで、プレイヤー1は戦略Aが支配戦略になりました。
 このことから、プレイヤー2はより利得の高い戦略Yを選択することになり、均衡を得ることができます。
 この均衡を反復支配戦略均衡といい、次のようになります。

  プレイヤー1 ⇒ 戦略Aで利得1
  プレイヤー2 ⇒ 戦略Yで利得3

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