債券価格と利回りは無関係に形成されるのではなく、一定の関係を有しています。
例えば、一定のクーポンが永久に得られるコンソル債を考えてみましょう。
債券価格を$B$、クーポンを$C$、割引率を$r$とすると、クーポンの現在割引価値が債券価格となるので、
$B = \dfrac{C}{1+r} + \dfrac{C}{(1+r)^2} + \dfrac{C}{(1+r)^3} + \cdots$
となります。
ここで無限の等比級数の和の公式(式について知りたい方は、「級数に関する公式あれこれ」「等比級数の和について」あたりを参考にしてください)から、
$B = \dfrac{C}{r}$
であり、式変形すると、
$r = \dfrac{C}{B}$
となります。この結果、クーポンに債券価格を割ったものが、最終利回りになります。
ところで、この式から、最終利回り$r$と債券価格$B$は逆の動きをすることが分かります。
例えば、債券価格が上昇すれば、最終利回りは下がり、逆に最終利回りが上がれば、債券価格は下落します。
すなわち、債券価格を基準に考えると、
債券価格上昇 → 最終利回り低下
債券価格下落 → 最終利回り上昇
であり、最終利回りを基準に考えると、
最終利回り上昇 → 債券価格下落
最終利回り低下 → 債券価格上昇
となります。
ところで、債券価格と利回りは逆方向に動くことが分かりますが、注意点があります。
例えば、最終利回りが上昇したとき、投資家にとっては、プラス・マイナスの効果があるということです。
最終利回りが上昇するので、投資は利回りという点ではプラスですが、同時に債券価格が下落するのでマイナスも生じます。
すなわち、債券価格と利回りは逆に動くのですが、どちらが大きいかで、投資家にとっては利益が異なってきます。
(このあたりを知りたい方は、「債券価格と金利の関係に関する指標・デュレーションについて」あたりを見てください)