ドルコスト平均法
ドルコスト平均法(定額購入法)とは、金融商品の購入にあたり、毎期、定額でその商品を購入する投資方法です。
例えば、ある株式の購入にあたり、毎月1万円ずつ、投資をするというものです。NISAをやられたことがある方ならば、分かると思いますが、定額で積立NISAを行う方法は、このドルコスト平均法で投資を行っていることになります。
ドルコスト平均法の長所・短所
一般に、ドルコスト平均法においては、次のようなメリット・デメリットがあるとされます。
メリット
①リスク分散
一度に大きな金額を投資するわけではないので、価格変動リスクを軽減でき、リスク分散を図ることができます。
②平均購入価格の低下
毎期投資する場合においても、定量で投資した場合に比べて、ドルコスト平均法では、価格が低いときには多く、価格が高いときには少なく、金融商品を購入することになるので、平均購入価格が低くなることが知られています。
③小額投資
同じ金額を投資するにしても、一気に多くの金融商品を購入する場合に比べて、毎期、少額の投資を行うことができるので、まとまった多くの資金は必要ありません。
④簡便
一気に投資を行うときには、その購入時の価格が重要になりますが、上記のようにリスク分散を図ることができるので、あまり価格を気にせずに投資を行うことができ、素人でも比較的行いやすい簡便な投資手法と言えます。
デメリット
①手数料がかかる
ドルコスト平均法は、毎期、購入を行うので、定額の手数料が発生するときには、手数料が多くかかることになります。
ただ、手数料が無料であったり、投資額に比例するような手数料の場合においては、このデメリットはありません。
②長期運用
長期投資においては、よりリスクが大きくなりますが、逆に短期投資ではその変動は小さいため、ドルコスト平均法のメリットを享受しにくくなります。その意味で、ドルコスト平均法は、長期運用に向いた投資手法と言えます。
③下降トレンド
投資する金融商品が下降トレンドにあり、価格低下が予想されるときには、(他の多くの投資方法でも同じですが)ドルコスト平均法では、高い価格での売却は期待できないため、損をすることになります。
シミュレーション
以上のような特徴をもつドルコスト平均法ですが、実際の収益については、どうなのでしょうか。
ここで、一括で金融商品を購入する場合と比較して、エクセルで乱数を発生させ、シミュレーションをしてみました。
条件
シミュレーションを行うにあたり、次のような条件を設定しています。
(期間)
・1期から6期までを想定し、6期目に売却を行う
(投資)
・投資総額は10,000円
・一括購入の場合には1期目にすべてを投資する(10,000円)
・ドルコスト平均法では1期から5期まで分割して投資する(毎期2,000円)
(価格)
・1期目の価格は1,000円として、その後の平均価格も1,000円とする
ただし、2期以降は、20%の幅で変動する(標準偏差200)
(試行回数)
・1,000回シミュレーションを行う
結果
(乱数を発生させているため、毎回、結果は異なりますが)結果としては、次のようになりました。
1,000回試行を行った平均収益は、一括購入ではマイナスですが、ドルコスト平均法ではプラスになっています。
収益がプラスになる回数は、一括購入では491回、ドルコスト平均法では553回と、ドルコスト平均法のほうが上回っています。
そして、ドルコスト平均法の方が収益が大きい場合は、626回であり、ドルコスト平均法のほうが収益が大きい回数も多くなっています。
一括購入 | ドルコスト平均法 | ||
---|---|---|---|
平均収益 | 額 | -18.0 | 357.6 |
平均収益率 | % | -0.2% | 3.6% |
収益0以上 | 回数 | 491 | 553 |
割合 | 49.1% | 55.3% | |
ドルコスト平均法の方が収益が大きい | 回数 | 626 | |
割合 | 62.6% |
以上のように、ドルコスト平均法の方が、パフォーマンスがいい結果となっています。
おまけ
最後に、おまけとして、上記のシミュレーションに使ったエクセルファイルを添付しておきます。
ただし、エクセルの「rand()」関数を使って乱数を発生させているため、セルを変更するなどしただけで、新たに乱数が発生し、上記の結果とは異なるので、注意してください。