はじめに
国民は、社会資本・社会保障・防衛・教育などの公共サービスを支えるため、税金などを支払っています。
このとき、国民は、それらの公共サービスを支えるため、どれだけ負担をしているのかが気になるところです。
単純に言えば、税率ということになるのでしょうが、所得税や消費税などの様々な税金があり、どれだけ負担しているかは一言では言えません。また、健康保険や年金という形でも、負担が生じています。
そこで、国民がどれだけ負担しているのかを分かりやすく指標としたものが「国民負担率」です。
国民負担率
国民負担は、大きく分けると、租税からの負担と社会保障関係の負担があり、それぞれの負担率は、次式のようになります。
租税負担率(%) = 租税負担 ÷ 国民所得 × 100
社会保障負担率(%) = 社会保障負担 ÷ 国民所得 × 100
そして、これらの負担率を合計したものが、国民負担率になります。
国民負担率(%) = 国民負担 ÷ 国民所得 × 100
= 租税負担率 + 社会保障負担率
当然ながら、この国民負担率が大きいほど、国民は公共サービスを支えるため、税金などの形で多くの負担がかかっていることになります。
なお、財政赤字があるときには、将来、その財政赤字の解消のため、より多くの負担が生じる可能性があります。
国民負担率に、この将来、負担するかもしれない部分を加えたものを、潜在的国民負担率と言います。
潜在的国民負担率(%) = 国民負担率 + (財政赤字 ÷ 国民所得) × 100
実際の数値
国民負担率については、財務省が公表しています。
財務省「国民負担率」
これを見ると、令和4年度(見通し)で、国民負担率は46.5%、潜在的国民負担率は56.9%となっています。
財務省が公表している時系列の数値では、国民負担率は、次のようになっています。
1970年代には国民負担率は20%台でしたが、その後上昇し、2000年代以降に急激に上昇していることが分かります。
また、財務省HPでは海外との比較も行われており、その資料が次のものです。
日本はドイツ・スウェーデン・フランスよりも国民負担率は低いのですが、イギリスと同等、アメリカよりも高くなっています。
更に、潜在的国民負担率では、ドイツ・スウェーデンと同等の負担率となっています。