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投稿経済数学上級

チェビシェフの不等式の導出方法

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専門的ですが、統計学や確率論などを学ぶと出てくるチェビシェフの不等式について、その導出方法を説明します。
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概要

 チェビシェフの不等式(Chebyshev’s inequality)とは、有限な確率変数$ X$について、平均・分散を

  $ E(X) \, = \, \mu \quad , \quad Var(X) \, = \, \sigma$

とすると、任意の$ \varepsilon \, \gt \, 0$に対して、

  $ P(\left| \, X – \mu \,\right|) \, \leq \, \dfrac{\sigma^2}{\varepsilon^2}$

が成立します。

マルコフの不等式

 チェビシェフの不等式を導出する前に、その導出に必要なマルコフの不等式(Markov’s inequality)の導出を行います。

 まずは、次のような$ Y$を定義します。

  $ Y \, = \, \left\{
\begin{array}{ll}
0 & (X \lt \varepsilon) \\
\varepsilon & (X \geq \varepsilon)
\end{array}
\right.$

 このとき、常に$ Y \leq X$であるので、次を得ます。

  $ E(Y) \leq E(X) \qquad \cdots \qquad (1)$

 また、$ Y$について、期待値をとると、

  $ E(Y) = 0 \times P(Y=0) + \varepsilon \times P(Y=\varepsilon) = \varepsilon P(X \geq \varepsilon) \qquad \cdots \qquad (2)$

となります。そして、$ (1)$式と$ (2)$式を使うと、

  $ \varepsilon P(X \geq \varepsilon) \leq E(X)$

となり、$ \varepsilon$で割ると、

  $ P(X \geq \varepsilon) \leq \dfrac{E(X)}{\varepsilon} \qquad \cdots \qquad (3)$

というマルコフの不等式を得ることができます。

チェビシェフの不等式の導出方法

 まずは、$ Y=(X-\mu)^2$をおき、この$ Y$について、マルコフの不等式$ (3)$を適用すると、

  $ P(Y \geq \varepsilon^2) \leq \dfrac{E(Y)}{\varepsilon^2} = \dfrac{\sigma^2}{\varepsilon^2} \qquad \cdots \qquad (4)$

が得られます。

 ここで、$ Y \geq \varepsilon^2$から、$ \left| \, X – \mu \,\right| \geq \varepsilon$なので、

  $ P(Y \geq \varepsilon^2) = P(\left| \, X – \mu \,\right| \geq \varepsilon) $

であることから、この式を$ (5)$式に代入すると、

  $ P(\left| \, X – \mu \,\right|) \, \leq \, \dfrac{\sigma^2}{\varepsilon^2}$

というチェビシェフの不等式を得ることができます。

参考

 竹村彰通『現代数理統計学

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