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CES型生産関数の推定方法(2段階)

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投稿計量経済学中級
2段階で推定を行うときのCES型生産関数の推定方法を説明します。
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CES型生産関数

 生産量を$Y$、資本を$K$、労働力を$L$とし、次のような1次同次のCES型生産関数を考えます。

  $Y =A [\theta L^\rho + (1 \; – \; \theta)K^\rho]^{1/\rho} \quad \cdots \quad (1)$

 ここで、$A \, , \, \theta \, , \, \rho$をOLSで推定したいと思います。ただ、$A$や$\theta$については問題はありませんが、$\rho$は非線形になっており、そのままOLSを使うことができません。

 OLSを使ってこの式を推計するには、一工夫が必要です。具体的には2段階で推定を行う必要があり、その方法について説明したいと思います。

CES型生産関数

第1段階

 まずは、企業が完全競争下で利潤最大化を行うとき、賃金を$w$、レンタル率を$r$とすると、生産要素について、

  $\dfrac{\partial K}{\partial L}=\dfrac{r}{w}$

が成立します。

 $(1)$式をもとに、この式を計算すると、

  $\dfrac{\partial K}{\partial L} = \dfrac{1 \; – \; \theta}{\theta} \left( \dfrac{K}{L} \right)^{-\rho-1} = \dfrac{r}{w}$

であり、$k = K/L$とすると、

  $\dfrac{1 \; – \; \theta}{\theta} k^{-\rho-1} = \dfrac{r}{w}$

であり、式変形すると、

  $\ln k = \dfrac{1}{1+ \rho} \ln \dfrac{1 \; – \; \theta}{\theta} + \dfrac{1}{1+ \rho} \ln \dfrac{w}{r}$

であり、

  $\alpha = \dfrac{1}{1+ \rho} \ln \dfrac{1 \; – \; \theta}{\theta} \quad , \quad \beta=\dfrac{1}{1+ \rho} \quad \cdots \quad (2)$

とすれば、

  $\ln k = \alpha + \beta \ln \dfrac{w}{r}$

をOLSで推定すれば、$\hat{\alpha}$と$\hat{\beta}$を得ることができ、$(2)$式を使うと、$\hat{\theta} \, , \, \hat{\rho}$を求めることができます。

第2段階

 第1段階で推定した$\hat{\theta} \, , \, \hat{\rho}$をもとに、$(1)$式に代入すると、

  $Y =A [\hat{\theta} L^\hat{\rho} + (1 \; – \; \hat{\theta})K^\hat{\rho}]^{1/\hat{\rho}} \quad \cdots \quad (2)$

であり、これをOLSで推定すれば、$\hat{A}$を求めることができます。

 なお、この第2段階は、単純な切片のないモデルになっています。
 これは、$A$を定数としたからで、$A$は時間と共に逓減する技術パラメーターとして、例えば、

  $A = a e^{\lambda t}$

などとすれば、$(3)$式のモデルはもっと複雑なものになります。

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